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桃田 賢斗 桃田 賢斗

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桃田 賢斗さん

バドミントン選手

高校時代は、原発事故の避難指示に伴い休校となった県立富岡高等学校に在籍。震災後は、猪苗代町のサテライト校でトレーニングを継続した。2012年には男子シングルスで世界ジュニアバドミントン選手権大会優勝。2015年は世界バドミントン選手権大会で日本初となるメダルを獲得して、BWFスーパーシリーズファイナルを制覇。2018年の世界バドミントン選手権大会では初優勝を果たし、世界ランキング1位に輝いた。2019年はBWFワールドツアー11勝を挙げ、男子シングルス年間最多勝利数のギネス世界記録に認定。

第二の故郷のエールを受けて

世界の舞台で

「感謝」を返していく

MESSAGE ふくしまに寄り添う、あの日も、これからも

震災で改めて実感 バドミントンを続けられることに“感謝”

 震災当時、僕はインドネシアでバドミントンの修行をしていました。チームメイトから震災のニュースを聞き、被害を知りました。当時は日本にいる監督やチームメトに連絡がつかず、とても不安な日々を過ごしたことを覚えています。日本に帰国後もなかなかバドミントンの練習ができませんでした。
 こうして僕が今もバドミントンを続けられていることは本当にありがたいことですし、サポートしてくれる人がいるからこそ楽しくプレーができているのだと実感しました。

プレーを通して「ありがとう」を伝える

 これまでの優勝やタイトル獲得は、一つ一つの試合で、常に自分自身のプレーを客観的に捉えて挑んできた結果だと思っています。シーズンを通して僕ひとりでは戦えませんでした。今の僕があるのは、これまで支えてくださった方々がいるからこそ。だからこうしてバドミントンができています。
 その人たちへの思いは、本当に感謝しかありません。そして僕が感謝という気持ちを表現できる場は、コートの上だと思っています。プレーだけではなくコート上の振る舞いも含めて感謝という気持ちを伝えていきたい。コートの上で苦しくなった時は、いつも支えてくれる人の顔が思い浮かぶんです。その人たちを笑顔にできるように一球一球プレーしていきます。

地元の熱量と気迫に圧倒 ふくしまの子どもたちとバドミントン

 福島県は今でも僕の第二の故郷で、行くたびに帰ってきたなとホッとする場所です。子どもたちや地域の皆さんが温かく迎えてくれるのでうれしいです。
 2020年7月、広野町のふたば未来学園の中学生・高校生と一緒に練習したとき、彼らのバドミントンに対する熱量や気迫には驚きました。僕自身彼らから学ぶことも多く、たくさんのことを吸収できました。みんな「バドミントンが好きだ」という気持ちにあふれた目をしていたのが本当に印象的でしたね。

スポーツで勇気や夢を届ける アスリートだからできる支え方

 アスリートだからこそできることや、伝えられることがあると思っています。プレーで勇気を与えられたり、実際に触れ合うことで夢を与えられることもあります。だからこそ、世の中が暗く沈んでいる時に僕らアスリートが皆さんの力になれればと思います。僕ひとりではできないことも、他のアスリートと一緒になれば幅も広がり、皆さんへ届けられる思いも大きくなると思います。
 僕も今まで目の前に壁があった時は、ひとりでは乗り越えることができませんでした。でも、その時に周りで支えてくれた人がいたからこそ乗り越えることができました。
 自分自身、震災があった中で、こうして福島県が立ち上がっていく姿を見ると、元気や勇気をもらえます。僕は一アスリートとして、バドミントンを通して勇気を少しでも届けていきたいです。
 福島県は僕を育ててくれた場所です。今度は僕が支えられることがあれば、スポーツの力で、ひとりの人間として支えていきたい。そしてこれからも一緒に前に進んでいきたいです。

ふたば未来学園中学校・高等学校との交流

東京2020へ向けて バドミントンの恩はバドミントンで返す

 今は東京オリンピックに対する気持ちの高まりをより強く感じています。オリンピックで結果を残して、今まで支えてくれた人たちに恩返しをしていければと思っています。
 世界中で一番注目される大会なので、バドミントン人口を増やしたり、子どもたちに楽しさを伝えていけるように、そして、バドミントンがさらに普及するきっかけとなるよう結果を求めて挑みます!

第二の故郷ふくしまへ伝えたいメッセージ

 いつも応援してくださりありがとうございます。僕のバドミントン人生で、福島県はとても大切な場所です。震災の時も、バドミントンを続けることができたのは、当時支えてくださった皆さんのおかげです。その当時を乗り越えられたからこそ、今こうしてバドミントンを続けることができています。改めて、ありがとうございます。この感謝の思いを胸に皆さんに笑顔を届けられるようにプレーしていきます。これからも応援よろしくお願いします。

バドミントンS/Jリーグ2019(東洋通信スポーツセンター) ©Tsuyoshi Kishimoto