「海まち・とよま市民会議」発足の経緯
平成25年の秋に「海まち・とよま市民会議」が立ち上がりました。元々この地域は三世代で暮らす家族が多く、人間関係が濃い地域でしたが、震災の影響で地域外で暮らすようになった若い世代を取り戻すために、会議の活動目標を「若い世代が戻ってこられるまちづくり」としました。
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[いわき:いわき市]
海まち・とよま市民会議 会長
三地区と呼ばれる沼ノ内、薄磯、豊間地区の再生に尽力。「いわき震災伝承みらい館」の開設に関わった。
防災・減災教育を通して、
震災の教訓を伝えたい
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
平成25年の秋に「海まち・とよま市民会議」が立ち上がりました。元々この地域は三世代で暮らす家族が多く、人間関係が濃い地域でしたが、震災の影響で地域外で暮らすようになった若い世代を取り戻すために、会議の活動目標を「若い世代が戻ってこられるまちづくり」としました。
平成26年、豊間中学校の体育館が解体されるというときに、奇跡のピアノを体育館内に運んで、みんなで校歌を歌いました。また日々復興と向き合う中で、豊間の歴史と風土を振り返ろうと、地域誌「とよま学入門」を発行。地域の人たちの大震災の経験と、その教訓を学生さんたちに聞き書きしていただき「東日本大震災の記憶~とよま三区46の証言~」としてまとめました。地元の人たちの声を、学生さんたちは真摯に受けとめてくれましたね。
当時の校長が提案した「豊間アカデミー」は、津波被害によりバスで通学する生徒に向けた取り組みです。バスを待つ間、地元の塾講師が算数を教え、低学年の子どもたちは身体を動かす時間にしました。3年間の取り組みで子どもたちの学力も向上。学校とPTAの協力があったからこそできた取り組みでした。子どもたちのためにがんばる大人の姿を見せることができました。
私たちの経験は教訓と共に残していかなければなりません。地域史を調べると、過去に大きな津波に遭ったことが分かりました。この地に建てられた「いわき伝承みらい館」が、いわきの防災教育の拠点としての役割を果たせるように活動していくことが、われわれが後世に残せることだと思います。