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高橋 松一 高橋 松一

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高橋 松一さん

[相双:飯舘村]

農家

村内での水稲の試験栽培を経て、米作りをいち早く本格再開。収穫した米はJAふくしま未来、道の駅を中心に出荷している。

米作りをしながら

村の未来を見守る

INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから

手入れを続けた水田でいち早く再開

 避難指示を受けて中断していた稲作を、平成29年に村で試験的に再開することになりました。でもその時に協力できる農家がなかなかいなかった。そうであれば自分がやろうと手を挙げました。試験栽培の結果、米から放射性物質は検出されませんでした。一度はじめた米作りをやめるわけにもいかず、翌年からは本格的に米作りを再開しました。これも平成23年の当時から田畑を荒らさないよう、草刈りなど手をかけ続けてきたからできたことだと思います。

直播栽培への切り替え 村の米作りの未来を確信

 震災後、水田に直接種をまく栽培方法で米作りに挑戦しました。この方法では育苗の手間を省くことができるため、人口減少に悩む農業を打開できるものでした。収穫量減少への不安はありましたが、苗から育てるのと比べて質・量ともに遜色のない結果となり、米作りに光が見えました。
 早速、一緒に米作りをする人を増やすために周囲に声をかけ、米作りに参加する人も徐々に増えてきました。

ここで再開することの意味

 この経験で、村での農業再開が私の中で現実的なものになりました。私は避難先の二本松市から愛車の軽トラックで毎日村に通勤。1週間のほとんどの時間を村で過ごしています。農家が通勤だなんて笑ってしまいますが、来れば何かしらの仕事が必ずある。そしてなにより、生まれ育った故郷です。ここにいたいんです。いつまでも美しい村、飯館村が残ることを願って。

自慢の米のファンが増えていく

 「いいたて村の道の駅」では、村で栽培した米を販売しています。当初はお土産として持ち帰りやすい1㎏がよく売れたものの、現在は5㎏が売れ筋ナンバーワン。一度食べた人がファンになって、量の多いものが売れているようです。こうして徐々に村の魅力が着実に伝わっているのを感じると、飯舘村がこれからどういう村になっていくのかが楽しみです。