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川村 博 川村 博

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川村 さん

[相双:浪江町]

特定非営利活動法人 Jin 代表

高齢者と障がい児のデイサービス業務などを行う特定非営利活動法人Jinを設立。震災後は浪江町内で農業をはじめ、トルコギキョウ、カラーなどの花きを栽培。

浪江町を花の産地に

町民の誇りをつくる

INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから

開始3年で日本一の花に

 花き栽培をはじめたのは、震災後です。全てが手探りで、長野県に1年半通い技術を学びました。栽培から3年ほどで、Jinのトルコギキョウが、東京都中央卸売市場大田市場のフラワーオークションジャパン(FAJ)で、高品質ナンバーワン、つまり日本一の花と評価されました。今では華道家の假屋崎省吾さんにも認めてもらい、作品に浪江の花を使ってもらえるようになりました。

「いい花をつくる仕組み」をマニュアル化

 今は、6人の職員と実習生1人の7人で運営していますが、その内の3人は障がいをもつ方々です。現在、浪江町内では、7団体が花き栽培をするようになりました。当たり前のことですが、花き栽培をなりわいとするためには、目標を持って、計画通りに生産することが必要になってきます。いい花をつくる技術は惜しみなく伝えますし、仕組みのマニュアル化もはじめました。

浪江町ではじめる意味

 何もなくなった土地で生産をはじめる、というストーリーを描けるのは被災地の強み。被災地で商品価値の高い花を育てることは、新しい価値観を生み出します。「被災地の役に立ちたい」という思いだけではなりわいは持続しない。その思いや夢を実現して体現していくためには、しっかりとしたビジネスビジョンが必要です。だからまずは自分が道をつくる。あとは興味を持ってくれた方々の、いい仕事のサポートができればと考えています。

新しいなりわいを町の誇りに

 花きの栽培のほかに、耕作放棄地に花を植えることも計画しています。浪江町からはじめた花き栽培が、双葉郡全体のなりわいとなり、双葉が花の産地になっていけば、新しい光が見えると思います。町の人が、双葉の花を誇りに思えるように、これからも花き栽培を続けていきたいと思っています。