突然の要請に驚き
震災発生から1ヶ月ほどたった4月半ばのことでした。「富岡高等学校の選手の寮として部屋を貸してほしい」と学校関係者から突然要請がありました。すぐに受け入れるかどうかの決断を迫られ、そのまま承諾することに。5年〜8年間におよぶバドミントン選手たちとの貴重な生活は、こうしたドタバタで始まりました。
049
[会津:猪苗代町]
あるぱいんロッジ・松井荘
震災後、富岡高等学校およびふたば未来学園中学・高等学校のバドミントン部の寮として生徒を受け入れ。生徒たちの全国制覇を支えた。
選手の寮生活を支える
猪苗代町から世界へ羽ばたけ
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
震災発生から1ヶ月ほどたった4月半ばのことでした。「富岡高等学校の選手の寮として部屋を貸してほしい」と学校関係者から突然要請がありました。すぐに受け入れるかどうかの決断を迫られ、そのまま承諾することに。5年〜8年間におよぶバドミントン選手たちとの貴重な生活は、こうしたドタバタで始まりました。
入所時、男子20人と女子20人の生徒たちが、全国から集まった一流選手だとは知りませんでした。目標に向かって頑張る選手たちは、実にたくましく素直でした。練習は相当激しかったと思いますが、弱音を吐く子どもたちはいませんでした。
平成26年、富岡高等学校が高校総体で史上初の団体戦男女同時優勝を果たした瞬間に立ち会えたことは一生の思い出です。今でも時々、選手たちが遊びに来ます。心身ともに成長した姿を見て感動しています。
選手たちは大人と同じぐらい意志が強く気持ちの切り替えが早いと感じていましたが、クリスマス会や花火大会などのイベントを催したときは、とても盛り上がりました。全員、子どもの顔に戻っていたのが印象に残っています。ライバルでありながらも仲が良く、バドミントンに情熱を燃やした選手の成長を見守ることができました。全ての生徒が宿を去り、大役を終えたときはホッとしたのを覚えています。
猪苗代町で生活した選手の中には、日本代表として活躍している桃田賢斗選手、東野有紗選手、渡辺勇大選手らがいます。さらに大学や実業団で活躍し、オリンピックを目指している選手もいます。思うように結果を出せず、挫折を味わうこともあると思いますが、諦めずに、けがには気をつけて世界で羽ばたいてほしいと願っています。これからも猪苗代町からエールを送っていきたいですね。