2軒に減ったしいたけ農家
三春町は元々しいたけの産地で、私は、「菌床栽培」という方法で12万玉程作っています。昔は10数名のしいたけ農家がありましたが、原発事故があったことで、しいたけを栽培しているのは私たちと、もう一軒のみになってしまいました。
027
[県中:三春町]
有限会社 M&A ふぁーむ・わたなべ 代表取締役
三春町の貝山地区で菌床しいたけ栽培を行う。GAP(ギャップ)認証取得など食の安全や環境保全に寄与する取り組みを実践するなど、農業の復興再生に向けた取り組みを実践している。
安心安全なしいたけを
消費者に届けたい
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
三春町は元々しいたけの産地で、私は、「菌床栽培」という方法で12万玉程作っています。昔は10数名のしいたけ農家がありましたが、原発事故があったことで、しいたけを栽培しているのは私たちと、もう一軒のみになってしまいました。
震災直後は、農家数も減ってしまい、もう事業は続けられないと思いましたが、震災があった年の4月に、きのこ振興センターが栽培を再開すると聞いて希望がわいてきました。地元のスーパーも食品検査をクリアすれば販売してくれました。
その年の暮れには長男が家を継ぐために戻り、再開の大きな支えになりました。長男とともに新しく開拓した客先から注文を受けてしいたけを栽培・出荷したり、パッケージに工夫をこらしたり、精力的に活動しています。
平成30年にJGAP(ジェイギャップ)を取得。徹底した工程管理で生産を続けています。業績の見える化により出荷目標、資材管理も立てやすくなりました。また昨年からは三男が経理や配達を担うようになりました。今では息子たちが、しいたけ栽培の主戦力です。彼らは私にないセンスをもっているので、あまり口出しをしないように見守っています。
東京大田市場の福島県産のしいたけの卸価格も、震災後は底値が続きましたが、おかげさまでかなり戻ってきました。しいたけは大きな価格の変動がなく、天候に左右されずに栽培できるというメリットがあります。安心安全なしいたけを消費者の方に食べていただきたい。その一心でひとつひとつ収穫しています。