危機感を基に行動をはじめる
米消費量の低迷や農業従事者の高齢化、後継者不足など、農家を取り巻く状況は震災前から厳しいものでした。解決策を見出そうと平成20年、研究会を立ち上げ。行政の後押しもあり、危機意識を共有していた村内の大半の仲間が参加しました。私たちは対話を重視しています。以前であれば企業秘密にしていた情報もオープンにし、地域一丸となり栽培技術の向上に努めました。
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[県中:天栄村]
天栄米栽培研究会 前会長
安全でおいしい米をつくることを目標に、研究会のリーダーとして奮闘。仲間と力を合わせ独自の栽培法を生み出した「天栄米」の魅力は全国で認知されている。
仲間と意思疎通を図り
米の魅力向上に貢献
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
米消費量の低迷や農業従事者の高齢化、後継者不足など、農家を取り巻く状況は震災前から厳しいものでした。解決策を見出そうと平成20年、研究会を立ち上げ。行政の後押しもあり、危機意識を共有していた村内の大半の仲間が参加しました。私たちは対話を重視しています。以前であれば企業秘密にしていた情報もオープンにし、地域一丸となり栽培技術の向上に努めました。
「村の米は、それなりに高い評価を得ている」と自負していましたが、研究会の目標として、より安全で質の高い米をつくることに決めました。漢方土壌改良剤を使用し無農薬で有機栽培した米、農薬や化学肥料を限りなく削減した米、品質と食味にこだわった極良食味米の3種類を安全でおいしい「天栄米」と位置付け、栽培をはじめました。世界最大規模を誇る「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」では金賞を10回獲得するまでになりました。
原発事故後、いち早く放射線の検査機器を導入し、汚染を防ぐ資材を散布するなど、できうる限りの策を講じましたが、去っていく消費者も少なくありません。そんな中、私たちの活動を記録した映画が上映され、関東圏でのPR活動も相まって県外の消費者の関心がグッと高まって来ました。映画のPR効果を実感するとともに、自分たちの米作りの誇りを見つめ直す機会となりました。
関心が高まる消費者に農作業や稲刈りなどを体験してもらう事業も積極的に企画しました。「安全で良い米を作れば苦境を脱することができる」と確信できるようになり、皆さんへの感謝の気持ちが高まりました。最近、若い後継者が数人、誕生したことも喜びです。これからもますますブランド化を推進していきたいですね。