「若旦那」が注目の的に
震災後、土湯温泉の3分の1の宿が休廃業に追い込まれました。若い世代ができることを模索していた平成24年、県の「ふくしまからはじめよう。若い力による風評被害対策事業」の一環で、旅館の「若旦那」を取り上げたフリーペーパー「若旦那図鑑」を発行しました。この取り組みが注目を集め、翌年の福島デスティネーションキャンペーンでは、多くの応援をいただきました。
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[県北:福島市]
土湯温泉山水荘 常務取締役/ふくしま若旦那プロジェクト 代表
土湯温泉の若旦那が地域の魅力をPRするフリーペーパー「若旦那図鑑」を発行。斬新な企画で大きな反響をうみ、土湯温泉の知名度アップと風評払拭に貢献した。
温泉街の顔として
「若旦那」が魅力発信
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
震災後、土湯温泉の3分の1の宿が休廃業に追い込まれました。若い世代ができることを模索していた平成24年、県の「ふくしまからはじめよう。若い力による風評被害対策事業」の一環で、旅館の「若旦那」を取り上げたフリーペーパー「若旦那図鑑」を発行しました。この取り組みが注目を集め、翌年の福島デスティネーションキャンペーンでは、多くの応援をいただきました。
「若旦那」にスポットを当てたのは、福島市内の学生のアイデアでした。斬新な企画内容にはじめは半信半疑でしたが、「福島で頑張る人の姿は人の心を動かす」という学生たちの声に背中を押されました。活動の輪は飯坂温泉と岳温泉にも広がり、温泉街の連携強化にもつながりました。震災がなければ、一丸となって何かに取り組むことはなかった。地域の存続のために尽力する仲間との絆が生まれた活動でした。
現在、土湯温泉ではバイナリー発電や水力発電で、電力の地産地消を目指しています。原発事故による風評の影響を受けた町だからこそ、新エネルギーやSDGsを意識したまちづくりが必要です。また、この取り組みは地域再生のモデルケースとして、海外からの注目を集めはじめました。インバウンドの受け入れを強化することで、国際的な情報発信のチャンスをつくれれば、風評払拭にも貢献できると思います。
「若旦那」という存在は氷山の一角で、僕たちの後ろにはたくさんの協力者がいます。震災以降、地域の代表として活動する意識や責任感が強くなりました。これは僕を育ててくれた地域への恩返しです。一時は喪失してしまった地域の誇りや自信を取り戻すためにも、これからも若旦那パワーで盛り上げていきます。