若くして商売一筋
もともと実家は双葉町で商店を営んでいました。20代前半で店を継ぎ、売上は毎年対前年15%アップで順調に成長し、平成22年には店舗の全面リニューアルを行いました。そしてリニューアル1周年記念キャンペーンの初日に震災が発生。原発事故による避難指示に伴い、店に大量の在庫を残したまま、休業を余儀なくされました。
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[相双:双葉町]
有限会社マルマサ食品 代表取締役社長
双葉町で経営していた商店は避難指示に伴い休業。その後、避難先のいわき市で仮設商店をオープンし、現在はいわき市錦町でスーパーを経営。
つまずく度に
お客さんの声に救われた
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
もともと実家は双葉町で商店を営んでいました。20代前半で店を継ぎ、売上は毎年対前年15%アップで順調に成長し、平成22年には店舗の全面リニューアルを行いました。そしてリニューアル1周年記念キャンペーンの初日に震災が発生。原発事故による避難指示に伴い、店に大量の在庫を残したまま、休業を余儀なくされました。
平成24年、いわき市南台に建てられた双葉町の応急仮設住宅地内に、仮設商店「ふたばふれあい処」を開設しました。何もせずに日々を過ごしているのが苦しかった。仕事に没頭していると、つらいことを忘れられます。商売は僕の救いでした。
閉店の時、新聞やニュースでお客さんの声を聞いて、地域に求められる店であったことを再認識して涙があふれました。
当初、新店舗を構えることに葛藤がありましたが、母が「やりたいことをやりなさい」と背中を押してくれました。
商売は人間関係が全てです。新しい土地での再スタートは、お客さんの信頼をまた一から築くということ。今は少しずつ常連さんの顔と名前を覚えています。小さい店だからこそ、年配の方は利用しやすいと思います。これからも地域のため、地域に寄り添った商店経営を心掛けていきます。
会社の名前は「マルマサ」です。父の正行(まさゆき)は経理を、息子の正道(まさみち)が現場を担当し、2人で会社を丸く収められる様「マルマサ」という会社名にしました。震災でなにもかも失いましたが、この名前だけは残そうと思っていました。家族から引き継いだこの看板を背負って、これからも励んでいきたいです。