震災の1ヶ月後、郡山市で事業再開
震災翌日、避難先で、当時富岡町の町長として陣頭指揮を執っていた父と電話がつながり「この会社はこの地域で育ててもらった。いち早く再開して、地域に恩返ししてほしい。」と言われ、ハッとしました。1ヶ月後の4月11日、今まで育ててくれた富岡町役場に寄り添いたいという思いから、役場が最初に拠点を構えた郡山市で事業を再開しました。
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[相双:富岡町]
株式会社ふたば代表取締役/
一般社団法人とみおかワインドメーヌ代表理事/
技術士(建設部門)
建設コンサルタントを中心に、地理空間情報の技術を応用した環境調査などで復興に貢献。他に町民有志と、ワイン用ぶどうの栽培を基盤にした産業創出に注力している。
双葉郡の未来のために
チャレンジを続けていく
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
震災翌日、避難先で、当時富岡町の町長として陣頭指揮を執っていた父と電話がつながり「この会社はこの地域で育ててもらった。いち早く再開して、地域に恩返ししてほしい。」と言われ、ハッとしました。1ヶ月後の4月11日、今まで育ててくれた富岡町役場に寄り添いたいという思いから、役場が最初に拠点を構えた郡山市で事業を再開しました。
大学卒業後は大手の建設コンサルタントに入社し、海外20数カ国で仕事をしてきました。「故郷・富岡町の魅力を増やすためには?」と海外で考えていた時、コミュニケーションツールとしてのワインの可能性を感じました。国内外の交流を考える上で、ワインは日本人でも海外の人でも好まれる。さらに海に沿った富岡町の地に広がるぶどう畑の景観が、人を呼び込む魅力になると考え、ワインづくりをはじめました。
原発事故により地域住民が避難を余儀なくされ、二地域居住を経験しています。私も富岡町と郡山市で二地域居住を送っています。それを逆に好機ととらえ、浜・中・会津の気候の違いや、それぞれの良さを取り入れながら「冬は浜通り、夏は会津で暮らす」といった衣替え感覚の生活スタイルを、全国に先駆けて確立できないかと考えています。福島県が元々持っているポテンシャルを横断方向につなげることで、ますます発展していく気がします。
世界初の複合災害(自然災害と原子力災害)を受けた双葉地域がプラスに転じない限り、福島が復興・再生したとは評価されません。本社を富岡町に置いたことも、双葉地域が魅力的な地として転換するまで見届けるためです。私たちのチャレンジが福島県のため、日本のため、そして世界のためであると信じています。