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高原 カネ子 高原 カネ子

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高原 カネ子さん

[相双:楢葉町]

和布細工教室「ほのぼの」代表
ならは天神太鼓うしお会 創立者

平成27年の避難指示解除とともに帰町し、趣味を通してコミュニティの再生と生き甲斐づくりをしている。楢葉町職員だった平成6年に「ならは天神太鼓うしお会」を結成。退職と同時に和布細工教室「ほのぼの」(手芸教室)を運営。

あの日の楢葉町を

さまざまな形で伝えていく

INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから

遠くで感じる楢葉

 私は震災の数日後に神奈川県に避難したので、当時は遠くから楢葉町を見て心配することしかできませんでした。本来であれば3月13日に「ならは天神太鼓うしお会」のコンサートを開催する予定でした。子どもたちにもう一度太鼓をたたかせてあげたいと、多くの支援を受けて7月に東京でコンサートを開催できたことは、今でも忘れられません。 

戻ると決まったら一番に

 楢葉町の避難指示が解除になったら一番に帰る気でいました。帰町してからは、「なにかし隊」のメンバーとして、まだ帰ってくる人が少なく人がいない町中に、等身大のかかしを作って設置しました。「ならは応援団」として楢葉にボランティアや勉強にくる学生たちを家に泊めたり、語り部として町のことを話したりもしました。

感謝の支援

 和布細工教室「ほのぼの」では、寄付された古着物を使って作品をつくっています。震災から10年たった今でも全国各地から送られてくるんですよ。支援いただいたもので、商品をつくる。それで仕事ができる。そしてそれが生きる力になる。本当にありがたいことです。
 初めは趣味で通っていた参加者たちも、現在では地域を支える責任感や使命感を担って活動してくれています。ここが地域の人々の元気の源になっていることはうれしく思います。

言葉ではない「伝承」の形

 震災と原発事故で体験したことの伝承は途切れさせてはいけないと思います。でも、語り部という形だけでは途絶えてしまう。今、うしお会のメンバーに、太鼓で楢葉町の現在、過去、未来を表現する音をつくってもらっています。あの日、あの時に感じたこと、避難している中での思い、今の楢葉や感謝の気持ち。演奏という形でこれからも伝承していきたいと思っています。