強烈な危機感、ブランド化推進
日本有数の豪雪地帯である只見町で、私は米と南郷トマトの生産に取り組んでいます。人口減少や高齢化は昔から指摘されていて危機感がありました。そこでブランド力を高めるため先達が築いてこられた伝統や技術に加え、生産組合全体で新しい仲間づくりや新しい技術などを取り入れました。その結果、南郷トマトは全国的に知られるようになりました。
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[南会津:只見町]
有限会社 さんべ農園 代表取締役
米と南郷トマトの栽培農家として福島県農業賞を受賞。只見町の農業や雄大な自然を次世代につなぐために活動し、近年は仲間とともに米焼酎の製造、販売も手掛ける。
農業の価値を向上させ
思いと自然を次世代へ
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
日本有数の豪雪地帯である只見町で、私は米と南郷トマトの生産に取り組んでいます。人口減少や高齢化は昔から指摘されていて危機感がありました。そこでブランド力を高めるため先達が築いてこられた伝統や技術に加え、生産組合全体で新しい仲間づくりや新しい技術などを取り入れました。その結果、南郷トマトは全国的に知られるようになりました。
トマトの生産力強化を推進し、新規就農者の育成にも力を入れ、順調に推移して来ましたが、原発事故によって暗雲が立ち込めました。そんな時、長年取引のあった大手企業が「南郷トマトを使います」と宣言してくれました。顧客の信頼を裏切らぬよう、全力で取り組んできた実績が認められたと実感しました。忘れることのできない瞬間です。
消費者に安心安全を届けるためJGAP(ジェイギャップ)の認証を取得(稲作の個人認証と南郷トマト団体認証)。さらに只見産米のブランド化事業のひとつとして、仲間5人と米焼酎の製造、販売をスタートさせました。その名は「ねっか」。地元米を使い、冬季の仕事の創出を実現。そして焼酎が評判になれば、地元米の評価が高まるよい循環づくりになります。
ある時、東京都の男性から「只見町の小学生から猛烈にPRされた」と焼酎の注文がありました。小学校の先生に確認すると、修学旅行先の都内で只見町自慢をするというテーマ学習があり、子どもたちが一生懸命宣伝してくれたというのです。子どもたちと一緒に稲づくりから麹づくりをしてきた活動が、よい方向へ向かっていることを実感し、目頭が熱くなりました。その思いに応えられるよう、今後もこの仕事に取り組んでいきます。