客数の減少に寂しさ募る
下郷町には観光名所が数多くあります。平成20年には悲願だった甲子トンネルが開通し、中通り地区とのアクセスが良くなったことも観光客増加の要因でした。20年ほど関東地区で生活し、Uターンし故郷で暮らしていた私にとって、町の活況をうれしく感じていました。しかし、原発事故で情勢は大きく変わり、にぎわいを見せていた名所は人影がまばらになってしまいました。
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[南会津:下郷町]
一般財団法人 下郷町観光公社
震災後の観光客増加を目指して、着地型観光を推進。自らツアーやイベントを企画開発して、観光業の再興に尽力した。
観光の可能性を探求
キーワードは「つなぐ」
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
下郷町には観光名所が数多くあります。平成20年には悲願だった甲子トンネルが開通し、中通り地区とのアクセスが良くなったことも観光客増加の要因でした。20年ほど関東地区で生活し、Uターンし故郷で暮らしていた私にとって、町の活況をうれしく感じていました。しかし、原発事故で情勢は大きく変わり、にぎわいを見せていた名所は人影がまばらになってしまいました。
震災後、下郷町商工会に勤務した私は、観光事業の復活に取り組みました。町内地区を「おもてなしの空間」「地域おこしの空間」として位置付け、具体的には住民との交流と郷土料理の提供を2本柱としました。そして100万年かけて造られてきた町の自然、文化、風習などを楽しみながら体感してもらうウォーキングイベントを開催。県内外から多くの皆さんが参加してくれました。
観光客と町民が交流することを目的とした「着地型観光」に取り組みました。交流と体験を通して、来る人も受け入れる側にも「生きがい」「やりがい」そして新たな感動が生まれる。この考え方を軸にしたツアー商品を企画し大手旅行会社と販売しました。また特産品を使った商品や料理の開発を支援し、情報発信を積極的に行ったことで、着地型観光が定着しました。
観光公社に移り、旅行会社として着地型商品の企画、販売に取り組んでいます。不安定な時代を生きる現代人は「人と人がつながること、場所と場所がつながること」を求めているのではないでしょうか。風評は依然として残っていることも事実です。私たちは観光地の魅力をブラッシュアップし、さらに高めなければなりません。成せばなる 成さねばならぬ 何事も。諦めることなく努力を続けるのみです。