農地の声が聞こえた
昭和村役場職員だった私は、平成23年3月末で早期退職することになっていました。感覚的に農地の声が聞こえた瞬間があり「農業を仕事として全力で取り組んでみたい」という思いが募ったからです。
役場職員時代は村内の状況を公平、公正に見ながら業務に取り組んできましたが、農地はそれぞれに特徴があり、画一的な施策では限界があると思えたのです。
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[会津:昭和村]
農業
村役場を早期退職し、実家の農業を継いだ。環境によって大きく左右される農作物に向き合い、地域の特性にあった農業のあり方を模索している。
地域の特性を見極め
若手を集め農業を振興
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
昭和村役場職員だった私は、平成23年3月末で早期退職することになっていました。感覚的に農地の声が聞こえた瞬間があり「農業を仕事として全力で取り組んでみたい」という思いが募ったからです。
役場職員時代は村内の状況を公平、公正に見ながら業務に取り組んできましたが、農地はそれぞれに特徴があり、画一的な施策では限界があると思えたのです。
退職まであと20日あまりになった時、震災が発生しました。仙台市で暮らしていた娘の無事を案じながら村民の皆さんと支援用のおにぎりを作っていたことが思い出されます。感傷に浸る暇もなく役場職員としての生活を終えました。
同じ自治体の中でも地域によって土の成分や水の良しあし、日当たりなど環境や条件が異なるため、よりミクロ的な視点で農業に取り組むことが必要です。昭和村はカスミソウが全国的にも有名ですが、村内の全域が栽培に適しているわけではありません。離農者や耕作放棄地が増えている中だからこそ、真剣に考えるべきと思い行動しました。
少子高齢化が進行する村では数十年前から全国各地からの移住者を募集しており、村民と一緒に頑張っている方がたくさんいます。
震災後、私がつくったトマトやアスパラガスなどは、首都圏で販売することができました。それが自信となり、地道に生産していく決意ができました。今後は意欲ある若手をいかに農業に取り込めるかが重要です。そのためにもサポートできればと思っています。