貴重な淡水魚、ヒメマス
ヒメマスはサケ科の淡水魚。ベニザケが海に行かず一生、湖沼で暮らすようになったものと言われています。国内の原産地は北海道の阿寒湖とチミケップ湖で、国内では十和田湖、中禅寺湖、西湖、芦ノ湖などに生息しています。マス・サケ科の中では一番おいしいとも言われ、刺し身や塩焼き、薫製などで楽しめます。
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[会津:金山町]
沼沢漁業協同組合長
町名産のヒメマスを扱う組合のトップとして活躍。原発事故後は放射線への対策に尽力し、ヒメマス漁を復活させた。
先人の意思を守り続け
ヒメマスの魅力を伝えたい
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
ヒメマスはサケ科の淡水魚。ベニザケが海に行かず一生、湖沼で暮らすようになったものと言われています。国内の原産地は北海道の阿寒湖とチミケップ湖で、国内では十和田湖、中禅寺湖、西湖、芦ノ湖などに生息しています。マス・サケ科の中では一番おいしいとも言われ、刺し身や塩焼き、薫製などで楽しめます。
金山町の沼沢湖にヒメマスが移植されたのは明治時代。先人たちは、沼沢湖漁業協同組合を設立し県内唯一の産地としてヒメマスを育て、釣りの場所を提供してきました。平成に入り組合に解散の危機が訪れましたが、ヒメマスを町全体で応援していくことになり組合名を改称して再出発しました。私は2代目組合長に就任し県内外へのPR活動を重点的に行ってきました。
震災発生から1年後の平成24年4月、原発事故の影響でヒメマスの放流・捕獲ができなくなりました。「まさか」という思いでいっぱいでした。ヒメマスの寿命は約4年。さらに組合の活動費などを考えると、早期に対策を講じなければ解散せざるを得ない状況でしたが、国や大学など全国各地の研究者が調査に訪れ、その努力により平成28年には活動を再開することができました。
解禁から4年が過ぎ、県内をはじめ関東地区からの釣り人が戻ってくれています。令和2年の春、半数もの魚卵が死滅するアクシデントが発生しましたが、支笏湖(しこつこ)漁業協同組合からの稚魚5万匹の無償提供により、無事に放流することができました。今でも仲間に支えてもらっていると実感しました。この絆を大切にしながら、ヒメマスを後世に残すため、今後も努力を続けていきます。