震災直後の米づくり
酪農を辞めて、これからは稲作一本でやっていこうと決めた翌年に震災発生。今年の米作りをどうしたらよいか、何も情報がなくて全く分かりませんでした。けれど今何もしなかったら4月の種まきには間に合わない。周囲の判断を待っている猶予はなく蒔かぬ種は生えぬの一念で「俺はやる!」と決めて種をまいたのを覚えています。
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[県中:古殿町]
農業生産法人おざわふぁーむ(株)代表取締役
郷土食研究室 ふるさと工房 おざわふぁ~む
夫婦で農園と食品加工場を運営。自然とともにありのままの里山のくらしを再現し、地域の文化や味、食材を継承している。
古殿町から元気を発信
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
酪農を辞めて、これからは稲作一本でやっていこうと決めた翌年に震災発生。今年の米作りをどうしたらよいか、何も情報がなくて全く分かりませんでした。けれど今何もしなかったら4月の種まきには間に合わない。周囲の判断を待っている猶予はなく蒔かぬ種は生えぬの一念で「俺はやる!」と決めて種をまいたのを覚えています。
震災前年、調理師の免許を取って加工場を建てました。道の駅におにぎりなどを卸すようになり、古殿町で昔から作られている物が好きで、自分で加工品を作りたいと町の郷土食を調べました。
みんなに凍み餅を食べてほしいと思い、自宅の加工場で製造して道の駅に出しはじめました。ふるさとに伝わる懐かしい物を食べられる場所づくりをコンセプトに、その加工場を「ふるさと工房」と名付けました。
この数年で古殿育ちの若い人の新規就農者が出てきました。新規就農した人たちを大事に育てたい。元気よくやっていれば、農業は大変なことだけじゃないと思ってもらえます。「楽しそうにやってるから、俺もやりたくなっちゃったばい!」と、3年前に就農したうちの長男からよく言われています。
震災と原発事故の後、無念な気持ちを抱えている人や、風評被害に悩んでいる人がいます。でも、大変だと言い続けているだけでは絶対前には進めない。今はまだ前を向けなくても、自分たちは元気でいなきゃいけないと思うんです。だから私たちは元気に福島県の農業を発信していきたいなと思っています。