甚大な震災の被害、藤沼ダムの決壊
農業用水をためる藤沼ダムは、地震により決壊しました。地震発生時、私は車を運転していましたが、ダムの鉄砲水に飲み込まれそうになり九死に一生を得ました。ダムの決壊により死者8人を出すなど長沼地域は甚大な被害を受けました。
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[県中:須賀川市]
藤沼湖自然公園復興プロジェクト委員長
地震で決壊した藤沼湖底で生きていたヤマアジサイの株を発見し、育て上げた。復興への願いが込められた「奇跡のアジサイ」への支援の輪は全国に広がっている。
全国へ次世代に繋ぐ
復興願う奇跡のアジサイ
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
農業用水をためる藤沼ダムは、地震により決壊しました。地震発生時、私は車を運転していましたが、ダムの鉄砲水に飲み込まれそうになり九死に一生を得ました。ダムの決壊により死者8人を出すなど長沼地域は甚大な被害を受けました。
「被災で傷ついた人たちの心を癒し、前に進む足掛かりとしたい」という気持ちが高まり、平成24年、長沼商工会が中心となりプロジェクト委員会を発足させました。
プロジェクトの第一弾として平成25年4月、ダム湖底を歩く会を開催。そのときに偶然、湖底で群生していたアジサイを見つけたのです。「湖底で元気に育っているなんて……」と参加者は驚きました。これがアジサイ栽培のきっかけです。
専門家に見てもらい、湖底に咲いていた花はヤマアジサイだと判明しました。「花は人の心を和ませる効果がある、地域に元気をもたらすシンボルにしよう」と決め、株を栽培することになりました。さらに里親を募り、たくさんのアジサイを湖周辺に植えることを目標にしました。
私たちが栽培したアジサイは「奇跡のアジサイ」と呼ばれ、北海道から沖縄まで全国各地から里親の申し出が来るようになりました。地元の中学生も積極的に活動に参加し、九州の中学生との交流事業を展開しています。子どもたちの自主性が芽生えたことが何よりうれしい。
偶然の発見が大きな輪に広がりました。これからも支え合い、継承することの大切さを伝え続けていきます。