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矢吹 吉信 矢吹 吉信

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矢吹 吉信さん

[県北:大玉村]

あだたらの里直売所 店長

農家の対面販売やイベント開催などで活気ある直売所を運営。オンラインショップは村産の農産物を数多く取り扱い、県外からの注文も多数。

安全な農作物

安心を伝える生産者の思い

INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから

「村のために」震災が村に戻るきっかけ

 震災当時は村外のスーパーマーケットに23年間勤務していました。転機は平成25年、大玉村が運営する農産物の直売所が手狭になり、現在の場所へ移転することになったときです。民間の小売店での経験を買われて店長にと打診されました。悩みましたが「村のために」という一念で受けることにしました。以来、「売り上げが下がったらやめる」という覚悟を持って取り組んでいます。

安全な農作物を作り、安心を届ける

 令和2年、都内の駅の商業スペースで、オンラインイベントを開催しました。生産者とともに野菜の調理方法などを説明したところ、最小限の外出で食材を購入したいというニーズに合致。福島なまりが東京では新鮮に捉えられ、SNSなどで評判が広がり、日を重ねるごとに売り上げが伸びました。農家の方々の「孫に食べさせるために安全なものを作っている」という率直な思いが、購入者の安心につながったのかもしれません。

「観光」から「感行」へ

 村内の観光地は多くありませんが、人そのもの、自然そのものが大玉村の魅力です。農業体験、芋煮、手作り漬物、そして自然豊かな風景。観光ではなく、感じて行動する「感行」。これこそが大玉村に人を呼びこむポイントだと思っています。

村存続の循環づくりの要として

 今後、大玉村も含めて全国的に農業は高齢化が進むことが予測されます。しかし、作り手がいなければ販売は成り立ちません。だからこそ、村づくりとは人づくり。次世代の育成が必要です。農地を守って直売所で売る。そこにさらに雇用が生まれる。その仕組みを構築するのが、今を生きるわれわれの使命だと思っています。遊べて、食べて、買える。そういう場を作りたいです。