自分ができることは米作り
サラリーマンから祖父の跡を継ぐため米農家に転身したのは、平成21年のこと。現在は、40ヘクタールを有する福島市最大の米農家となりました。震災直後の3月下旬、農業を続けるべきかどうか分からない中、それでも「やれることはやっておこう」と田植えの準備をはじめたことを覚えています。
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[県北:福島市]
農業生産法人 株式会社カトウファーム
「えがおになれるお米を、ふくしまで」をモットーに福島市で米作りに励み、近年はビール醸造所の設立など、新しい取り組みに挑戦している。
〝面白い仕事づくり〟で
福島の力に
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
サラリーマンから祖父の跡を継ぐため米農家に転身したのは、平成21年のこと。現在は、40ヘクタールを有する福島市最大の米農家となりました。震災直後の3月下旬、農業を続けるべきかどうか分からない中、それでも「やれることはやっておこう」と田植えの準備をはじめたことを覚えています。
震災直後、SNSを通じて米作りの情報発信をはじめました。「自分たちがつくる米は安全だ!」と言うばかりでは消費者に伝わらない。むしろ、「楽しく農業をやって生きている」という現状を発信することが、安心につながるメッセージではないかと考えたからです。
震災後2年目に入り農業政策が厳しくなると、周囲の米農家の離農が増えてきましたが、これが逆に農業として経営を成り立たせるためのきっかけになりました。それまでの米農家としてのプライドを持ち、福島県のオリジナルブランド米「天のつぶ」作りに挑戦。インターネット販売で天のつぶが好評を得たことなどから、県と協力して東北支援のイベントに参加するようになりました。
令和2年9月にはビール醸造所「Yellow Beer Works」を設立。きっかけは、南相馬市での米作りです。思えば、今まで浜通りに対して何もできずにいました。そこで雪が少なく安定した田畑管理ができる南相馬市で、大麦やホップの栽培をはじめました。
こうした面白い仕事づくりを通して、カトウファームに就職したいと思われる会社にしたい。これまでの10年に負けない、これからの10年をつくっていきたいです。