激減した売り上げと来場者
代々、養蚕農家でしたが、曽祖父が桃の栽培をはじめました。その後、生産する果物も増え、直売所も設立。果物狩りの設備も整えて順調に推移していた時に震災が発生しました。初めはそんなに大きな影響はないと推測していましたが、現実はあまりにも過酷でした。例年、春先から予約が入りますが、平成23年は問い合わせすら来ませんでした。売り上げ、来場者数は大幅に減少しました。
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[県北:福島市]
まるせい果樹園
桃や梨など季節の果物を生産・販売。安全性を担保するため震災後にGAP(ギャップ)認証を取得。農産物の風評払拭のため、県外のイベントに積極的に取り組んだ。
あきらめず努力を継続
安全を証明、販売に励む
INTERVIEW 地域から見つめる、あの日から、これから
代々、養蚕農家でしたが、曽祖父が桃の栽培をはじめました。その後、生産する果物も増え、直売所も設立。果物狩りの設備も整えて順調に推移していた時に震災が発生しました。初めはそんなに大きな影響はないと推測していましたが、現実はあまりにも過酷でした。例年、春先から予約が入りますが、平成23年は問い合わせすら来ませんでした。売り上げ、来場者数は大幅に減少しました。
原発事故後の風評の影響は想定を超えるものでした。廃業も覚悟しましたが、「もう少し努力しよう」と折れそうな心を、なんとか奮い立たせていたのを覚えています。
当時求められたのは安全の証明です。第三者の審査による客観的な証明として確立しているGAP(ギャップ)の存在を知り、記録簿や作業台帳の簡素化、マニュアルの整備などに取り組み、無事に承認を得ることができました。
県外での販売活動には力を入れました。夜中に商品の準備をして、早朝には車で現地入り。夕方まで販売して帰宅。これを数日間行ったこともありました。ある会場で妻は倒れ、病院に運ばれました。自分の体調を判断できないほど疲れていたのだと思います。振り返れば二人そろって疲労困ぱいだったと思いますが、震災後のこの苦境をなんとか乗り切るという気力に満ちていました。
各地に活動に行く度に、支援や励ましの言葉を受け、商品を購入してもらいました。この時ほど、人の温かみやありがたさを感じたことはありません。10年の歳月を経て、経営は順調に改善して来ました。逆境で培ったノウハウを生かして果物王国を実現させるべく努力していきます。